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2012年10月13日

孤独な機械化農業

私の地域では、9月の中頃から1ヶ月ほどの間は、稲刈り籾摺りがあって昔で言う「農繁期」の最終段階です。
私が子供の頃は、「稲刈り」「稲はで」「藁蒔き」「脱穀」「天日干し(乾燥)」「籾摺り」と多くの行程を経たものも、今は、コンバインで「稲刈り」「脱穀」「藁蒔き」が一度に行われ、「乾燥」は乾燥機で完了し、「籾摺り」も機械任せ。
コンバインでは、タンクが籾でいっぱいになると軽トラの荷台に移し、それを乾燥機に運んでホースを繋いで送り込むだけ。二人でやればよりラクだけど、一人でも出来る作業なので、軽トラで籾を移す役の人は、時間が余ってしまいます。
私の父のように、昔の忙しい農業をこなしてて来た人にとって、稲刈りや籾摺りは一つの「イベント」のようなものなので、大勢でやる感覚が残っています。なので、「効率」を考える事が習慣にはなっていないように思います。
二人でやれば、うちのさして広くもない田んぼなら、1枚あたり3時間ほどで刈り取ってしまいます。
でも、一人は遊んでいる時間が多いので、効率を考えるなら、一人ですべての作業を行い、もう一人は別の仕事をこなす方が良いです。
もしくは、遊んでいる時間に出来る仕事を作っておくことです。
さらに言えば、複数台のコンバインで稲刈りの効率を上げることです。
ボトルネックの稲刈り時間が短縮されれば、半分の時間で終えることが出来ます。
農業にかかわらず、会社であろうと商品の販売であろうと、無駄な時間を減らすというのは大事なことです。
「日本の農業では、効率の点で海外の大規模農業に太刀打ちできない」
「小規模農家は存亡の危機だ」
こういう声を、政策の現場や農家の声でも聞きますが、小規模農家に限って言えば、そもそも効率を考えていない印象が強いです。
機械化での効率は上がったけど、多くは農作業人口の減少や高齢化のための機械化で、コストを考えた効率化にはなっていない気がします。
そもそも、耕作面積に対して、機械の設備費がかかりすぎです。
コンバインなども、年に延べ二日ほどしか使われないし、籾摺り器なども同様です。
何軒かで共有すれば、ずいぶん経費節減に繋がるはずです。
こんな話を父に話すと、
「皆が同時期に作業するからそんなのは無理だ」
と言います。
実際に、機械の共同使用を試みた村もあるけど失敗に終わったとか。
でも、本気で効率化を考えるなら、農機具や施設の共有化は必須じゃないですかね。
そういう事を本気で考えていない気がしますね。
村全体を一つの農業会社として考えるくらいになれば、山間地と平野で日当たりなどのエリアに分けて、微妙に生育期をずらすことは出来なく無いだろうし、地域全体で品質と効率を高める努力というのはあって良いと思うんですが。

投稿者 aw@bitlog : 2012年10月13日 08:31

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コメント

ぼくの両親も米どころの新潟出だったので効率化の話はそれこそ機械化が始まった四十年も前から聞いています。
毎年のように新型の農機具を買ってしまう話はよく聞きました。機械の共有化失敗の話も聞きました。
共用の実現はまずい米を作るエレベーターだけだったようです。

投稿者 tamami : 2012年10月13日 11:00

たぶん、かつて行われて失敗したのは、「機械の共同所有」というハードのみの共有で、ソフト的な部分が無かったことも失敗した理由じゃないですかね。
意識が個人のままだと、共有による効率化は完成しないですね。

投稿者 aw : 2012年10月13日 11:25

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