« トレラングッズ検討 | メイン | ほら、肩の力を抜いて・・・ »

2011年06月16日

レタスチャーハンの想い出

独立前にいたデザイン事務所は、当初、新宿の5丁目にありました。
蔵前通りを挟んで、オカマさんの聖地二丁目がある、なかなかファンキーなエリアです。
デザイン事務所に勤めたばかりの、勢いばかりでセンスも技術もない、どうにも使い物にならない新人の頃だったので、(笑)
よくやり直しを命じられて、徹夜でオフィスに籠もることも少なくありませんでした。
ランチ時に、通っていたのが、近所の中華屋です。
たぶん、中国生まれの店主のオヤジは、本当に愛想がなくて、客が来ても聞こえないくらいの「いらっしゃい」で、あとは、終始、口角を下げた仏頂面をして中華鍋を振っていました。
味は良かったので、ランチ時は賑わっていて、私は良くレタスチャーハンを注文していました。
オヤジはいつも仏頂面でしたが、何度も通ううちに、そのオヤジが、帰り際に、「ニヤリ」と微かに笑う時がありました。
例によって、仕事がはかどらず、仕事が深夜に及び、気分転換にマンションの前の自販機で飲み物を物色していたとき、背後に人の気配を感じたので、振り返ると、立っていたのはそのオヤジ。
「まだ仕事か?」
たぶん、そんな事を言ったと思います。
私がそうですと告げると、無言で100円玉を差し出しました。
どうやら、これで買えって事のようです。
たぶん、お風呂上がりだったせいか、お店の時の仏頂面ではなく、幾分表情は軟らかでした。
顎って貰う道理はないので、軽く断ろうとしたものの、
「フン」といって、強引に100円を渡そうとします。
仕方がないので、有り難く奢って貰うと、
またいつものニヤリ顔をしながら去っていきました。
それ以降、お店に行ったときのオヤジのニヤリ顔の頻度が多くなった気がします。
ずいぶん経ってから、事故だか、病気だかでそのオヤジが亡くなったとかいう話を聞きました。
レタスチャーハンを作る度に、いつもその中華屋のオヤジの仏頂面を思い出します。

投稿者 aw@bitlog : 2011年06月16日 12:23

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.bit-motors.com/~artworks/mt/mt-tb.cgi/2806

コメント

へぇ~
心に残る思い出のメニューなんですね
ちょっとした人生の機微のショートストーリーだなぁ
現代の小津映画のワンシーンにでもなりそうですね

まぁいつもの「しんさん」的には・・・
awさんが二丁目で修行して(させられて?)はじめは抵抗していたのに、みるみる○△×になって、
いつの間にか、立派なオネェマンになるような映画のほうが見たいですけど・・・オゲェ!!

投稿者 しんさん : 2011年06月16日 18:37

たぶん、私が仕事に疲れた顔をしてお店に行っていたんで、
気にかけていてくれたのかも知れないです。
界隈では有名な、うるさ方の一人だったんですが、
他にもうるさ方のママのショートストリーもあるので、そのうち。

二丁目のトホホ話もありますよ。
なかなかヘヴィーな土地柄ですが、どうもオカマさんにはモテました。(笑)
こちらも面白い話があるので、機会があればそのうちに。

投稿者 aw : 2011年06月16日 19:12

そうか。
ニイサンのニヤリ顔は、それを貰ったのか。

投稿者 Nylaicanai : 2011年06月16日 22:00

色々美味しいものを食べてる御仁は、さぞ素晴らしい逸話がたくさんあることでしょうね。

投稿者 aw : 2011年06月16日 22:28

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)