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2011年03月24日

最も危険、だから助かった

名前は失念しましたが、今回の津波で、湾に近のに堤防もなく、「最も災害対策が遅れて危険」と言われた集落が、一人を除いて全員が助かったそうです。
その理由というのは、危険を認識していたがゆえに、避難準備を怠らず、直ちに全員が高台に避難したからだそうです。
集落が小さいがゆえに、連絡が行き渡りやすく、全員で行動しやすかったってーのもありそうです。
足腰の弱いお年寄りはリヤカーに載せて坂道を駆け上がっていました。
逆に、「世界一の堤防」が自慢だった地域や、海から遠く離れた地域では、安全だという思い込みで、まず避難が遅れ、避難が始まってからは、クルマでの移動が徒になって、渋滞に嵌り身動きが取れなくなったそうです。
このケースは、危機に対する対応として、非常に示唆的です。
災害というのは、常に「想定外」の事によって起きるものですが、逆説的に言うと、災害を想定して作った防災施設を作ったからと言って、それは安全が担保されるものではないということになります。

また別のケースです。
1000人規模の大きな避難所で、その日の夕食の時間が迫っても、食料が調達できない事態のようでした。
県に要望を出しているものの、情報が錯綜しているために、埒があかない状態です。
お昼はカップラーメンのみ。
夕食の時間に漸く届いた一人1個のおにぎりと、ソーセージか鯖缶詰の選択だそうで。
もちろん、冷たいままです。
もう一つの避難所は、地元の民宿の女将が仕切る小さなグループです。
もちろん、正規の避難所ではなくて、避難所が遠いので、全壊を免れたその民宿で、近隣の被災者が集団生活をしています。
当然、役場の人も居ないので、皆で役割分担して、共同生活をしています。
残った食料を融通し合い、薪を割り、温かい食事を食べています。
ただ、被災者の殆どは、肉親を亡くし、それでも、みんなで慰め合って癒し合っています。
大きな避難所で、世話をする人と援助を受ける人の役割が分かれていると、援助を受ける人はそのことに慣れてしまい、自分で動くことを忘れてしまうとか。
あの、おにぎりと鯖缶詰とソーセージは、そのまま個別に食べるんじゃなくて、少し料理が出来れば、ずいぶん食事の質も改善できたんでしょうけど、人数の多さから、手間が掛かって無理だったんでしょうね。
少人数のグループは、全員で意見を出し合って、ずっと質の良い生活振りに見えました。
こちらは、少人数で、顔見知りが多いことと、リーダーの女将がしっかり仕切っていたために、混乱もなく生活の質を保てたのだと思います。
このケースも、避難所のコミュニティーの在り方として示唆に富んでいます。
少人数で、統制の取れたグループというのが、もっとも活発だと言うことになります。
大きな避難所は、少人数の、出来るだけ面識のある人同士のグループに分け、個別に役割を持たせるのが、最も有効な気がします。
ってこれって、まんま軍隊ですね。
大きな避難所の組織管理は、お役所ではなくて、自衛隊に任せるのがどうでしょう。
まぁ、訓練では出来ていたんでしょうけど、お役所も被災して、機能しなくなったように見えます。

今回の災害では、多くのことを考えさせられます。

投稿者 aw@bitlog : 2011年03月24日 06:58

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コメント

なるほどねぇ
逆説的というか、備えあれば・・・というか、明暗を分けたんですね。
そんなワタシは先週末に自宅でDVDで日本沈没を見てました。
素で見たときはそれなりのリアリティにいろいろ考えながら楽しんだのですが、
見知った地が現実に廃墟と化した現実、「今見るとどうおもうんだろう」と実験的に鑑賞してみたのですが、
変な感傷もなく、ただツラツラと見ました的な感覚でした。

首都圏も停電と水騒動以外は、ガソリン含めてまぁまぁ普通の日常です。、
西の方へは良いのですが、よく行く北の方へは、帰りのガソリンの心配があるので遠出はできません。
慣らしを兼ねたドライブは当面おあづけです、今年は花見で盛り上がる人々はどれくらいいるのだろう。
上の公園もどこも厳しそうだなぁ、電気も心も・・・暗くてね

投稿者 しんさん : 2011年03月25日 08:14

もちろん、全てに当てはまるわけではないですけど、
堤防があるから、一度の目の津波の後に、戻った人なんかもいるという話や、
ある程度の距離があるから、避難が遅れた人の話などを聞くと、
助かった集落の人の、地震直後に開始した避難行動は、好対照に思えました。
今回の津波被害は、かなりシミュレーション映像に近かったそうですが、それを作った人自身が、まさかホントにこんな事になるとは、思ったそうです。

東日本で花見を楽しむには、マイナス要因が多すぎますね。
それでも、被災地の人には、花見をして欲しいですね。
すこしでも、気晴らしになるといいなと思います。

投稿者 aw : 2011年03月25日 11:07

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